本当は僕は成瀬になりたかった 『成瀬は天下を取りにいく』

みなさんこんにちは。
本日は本屋大賞ノミネート作『成瀬は天下を取りにいく』のお話です。
筆者の宮島先生はなんと本作がデビュー作。
デビュー作がノミネートとはスゴすぎです…

ところでみなさんは
「将来の夢は何ですか?」と聞かれたとき何と答えていましたか?
私はこの質問が昔から苦手でしたが、その苦手意識は年々増すばかりでした。
青春の過程でみなさんにも、諦めてきた夢や、なりたかった自分というものがあるでしょう。
大人になるにつれて現実を知り、きらめく気持ちを忘れていくのです。

そんな諦めの気持ちを吹き飛ばしてくれるのが本作主人公の成瀬です。
マイペース、自由、我が道を行く。
「私は200歳まで生きる」という彼女いわく、
これまで誰も200歳まで生きようと試みていないから、200歳まで生きた人間がいないのだそう。
なんなんそのめちゃくちゃ理論…。
しかし、そんな独自の哲学を持つ変わり者の成瀬に、読者も周りも目が離せなくなっていきます。
本作は成瀬を、親友の島崎をはじめとした5人の人々の視点から描いた作品です。
最後の章では成瀬本人の心情が描かれ、流れるように読み切ることが出来ました。
この成瀬の一人称視点が最後にあるかないかで作品の深みが全く違うと感じました。
ぜひ一気に読んでいただきますよう。

読み進めているうちに成瀬の生き方や考え方に共感し、こうなりたいな~!と考えるのですが、
少し普段の生活を俯瞰し、即座に不可能である事に気づきます。
毎朝走るとか無理…200歳まで生きるためとはいえ…無理…!
勉強だって欠かさず、夜は9時には就寝。継続した丁寧。
どこか抜けたところがありながらも、たしかにカッコいい。

さらに成瀬にとって幸運だったのが親友の島崎の存在だと思います。
成瀬の奇行を見守り、時にはその奇行に付き合い。
親友の形はいくつかあると思いますが、二人の関係は親友に違いありません。
なんせ一緒にM1も出てたし。
いかに成瀬が一人でなんでもこなす超人であるとはいえ、面白いことを一緒にやる仲間がいると楽しいものです。
成瀬本人にそんな思いがあるのかは作中では微妙でしたが。

とはいうものの私には成瀬にとっての島崎のような存在はすでにいます。
それに気づいたとき、ふと周りのみんなが、どこかに成瀬の様な一面を持っているなと気づきました。
変人という意味ではなく、自身の思いを貫くことであったり、人のことを冷静に見ていることだったり。
もしかしたら私自身にも成瀬のような側面というのはあるのかもしれません。
「きっと昔の僕は成瀬の様になりたかった」と読了直後は思いました。
こんなはずではなかったけどと感じるときがないでもありません。
しかし成瀬の考え方や生き方は全てでなく、自分に合っている部分を拝借すればよい物。
そう考えてからは、自身の生き方をもっと大切にしようと思えました。

爽やかな読後感は体験するのが一番です。
最近会う人会う人にお勧めしている本作。
続編の『成瀬は信じた道をいく』についてもすこし大人になった成瀬の活躍を垣間見ることが出来ます。
是非読んでみてください!

 

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