現代病

先日第166回芥川賞受賞作が発表されましたね。
今回受賞したのは砂川文次さんのブラックボックス。おめでとうございます!!

私はこれまで純文学という響きから芥川賞には難解なイメージがあり、なかなか読まずにいましたが、今回いまさらながら第164回芥川賞を受賞した宇佐見りんさんの『推し、燃ゆ』を読みました。
こちらは本屋大賞にもノミネートされていたうえ、TwitterをはじめとしたSNSで若者を中心に話題になっていたので、読みやすいと感じる方も多いはずです!!

主人公あかりの「推し」が、暴行事件を起こしSNSで炎上するところから物語は始まります。
現代に生きる私たちの中では「推し」という存在も「炎上」という現象も思ったより身近にありますよね。
あかりはその事件後も妄信的に推し活をつづけますが、それはあかりの行動のすべてが推しへの思いを原動力にしているから、行動の意味だからなのです…。文字通りの生きがい。
そして事件後、過剰になっていく推し活を自覚しながらも、他には目もくれず推しを応援し続けるあかりの顛末を描いたのがこの作品です。

作者の宇佐見さんは受賞当時21歳!
「ヤバい」などの若者言葉を使って女子高生の会話を自然に描いていたのが印象的でした。
比喩表現に関しては、ほ、ほんとに同い年…?とたじろいでしまうほど。
すご…。どんだけ本読んだらそうなるの??

作中で理由は明らかにされませんが、あかりは日常生活に困難を抱えています。
そういった背景を踏まえると、現実世界から目を背けるように推しにのめり込む姿は逃避や依存のように見えますが、
あかりは推しを「背骨」だといいます。

これ実はとても深い表現じゃないですか?
無くてはならないもの、自分を支えるもの、自分の中心になるもの。
そして細くて広がりのないもの。

僕は何かを推すという経験がないのですが、それでも何かに救いを求めたくなる気持ちはよくわかります。
さとり世代と呼ばれ、世の中を諦観している我々の現代の流行り病のようなものですね。
推しがいる人の解釈も聞いてみたいところです!!!

行数も少ないですが内容はずっしりと重たい。
きっとあなたもあかりではなく、自分自身を理解するためにもう一度読み直すことになってしまうはず!!
現代に生きる我々が読まなければならない、理解しなければならない作品だと思います。

僕も今から2回目を読みます。
今度は自分の背骨がなんなのか考えながら。

 

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